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【低水素系】仮付け用溶接棒LB-52Tの特長を紹介【神戸製鋼所】

本記事を読んでわかること
  • 仮付け溶接とはどんな溶接なのか
  • 仮付け用溶接棒「LB-52T」の特長
  • 乾燥が必要ないアルミ包装タイプのLB-52Tについて

溶接棒には様々な種類があるということを過去記事でも書いてきましたが、今回は低水素系溶接棒の「LB-52T」を紹介します。

低水素系溶接棒のおおまかな特徴については以下の記事と表を参考にしてください。

スクロールできます
JIS神戸製鋼所日鉄溶接工業特徴
Z 3211 E4316 ULB-26S-16重強度部材用
神戸:Z 3211 E4948
日鉄:Z 3211 E4340 U
LB-26VS-16V立向下進溶接用(通称:くだり棒)
Z 3211 E4916 ULB-52L-55490MPa級高張力鋼用
Z 3211 E4948LB-52TTW-50仮付け溶接用(タック溶接ともいう)
Z 3211 E4316LB-52US-16W裏波溶接用
代表的な低水素系溶接棒の銘柄

低水素系の溶接棒は拡散性水素量が低いため、強度や割れにくさを重視する箇所で使用されるんだ。

本日紹介する神戸製鋼所「LB-52T」は、仮付け溶接と呼ばれる溶接で使用される溶接棒になります。

主に造船や橋梁・建築鉄骨の業界で使用されることの多い銘柄で、溶接棒の知識を深めたい方は是非最後まで読んでみてください。

目次

仮付け溶接とは

仮付け溶接とは、本溶接前に、定められた位置に母材を保持するための溶接のことをいいます。

その他にもタック溶接、組立溶接なんて呼ばれることもあるよ。

溶接において、欠陥のない溶接を行うためには、この仮付け溶接の工程が非常に重要になります。

仮付け溶接の段階で不具合があるようであれば、それは本溶接の結果にも大きく影響を及ぼすからです。

LB-52Tの「T」の意味…タック溶接の頭文字「T」からとっています。

LB-52Tの特長

”神戸製鋼所 赤カタログより”

一般的に仮付け溶接の溶接ビードは短くなるため、その溶接ビードは割れやすいものとなっています。

しかしLB-52Tは低水素系溶接棒の特長から割れにくく、490MPa級の鋼材にも使用可能です。

さらには立ち向い下進溶接を含む全姿勢溶接で使用でき、再アーク性に優れるため連続的な仮付け溶接を可能としています。

低水素系溶接棒の中でも作業性がいい溶接棒だといえるね。

再アーク性ってなんだろ…。

再アーク性に優れるとは

溶接棒の性能を学んでいるとたまに出てくる「再アーク性」という指標がどのようなものなのかを説明します。

溶接棒は使用前に、コツコツと棒をたたくか、マッチのように棒を擦るかしてアークを発生させます。

再アーク性が高くない溶接棒だと、溶接を終えたときに再度使用する場合は、同様の方法でアークを再発生しなければなりません。

しかし再アーク性の高いLB-52Tの場合は、時間を少しおいた後でも棒を母材に近づけるだけでアークが再発生します。

そのため離れた箇所を点々と溶接する仮付け溶接に、最適な溶接棒こそがLB-52Tだというわけです。

なるほど!

乾燥不要のアルミ包装タイプがある

LB-52Tは仮付け溶接において、割れにくいという溶接性と、扱いやすいという作業性を併せ持っています。

しかしその性能を最大限に発揮するためには、低水素系溶接棒を使用する際の注意点(使用前に乾燥させる)を守らなければなりません。

仮付けで少量しか使わないのに乾燥させるの面倒くさい…。

そのような方向け(?)に神戸製鋼所は乾燥が不要なアルミ包装タイプのLB-52Tも販売しております。

棒径は3.2mmと4.0mmがラインナップされており、アルミ包装を開封してしばらくの間は乾燥された状態が保たれているとのことです。

さらにアルミ包装タイプは小箱1箱が2kg入りということなので、少量をすぐ使いたいという状況が多いお客様にはうってつけです。

LB-52Tだけでなく、他の低水素系溶接棒も乾燥不要のアルミ包装タイプが存在するみたいだ!

求められているニーズに少しでも対応しようというメーカー様の気概が感じられます。

まとめ:仮付け用の溶接棒と言われたらLB-52T

本記事のおさらい
  • LB-52Tは仮付け溶接で使用される低水素系溶接棒
  • 仮付け溶接とは本溶接前の母材を保持するための溶接のこと
  • 仮付け溶接はタック溶接、組み立て溶接とも呼ばれる
  • LB-52Tは割れにくく、全姿勢溶接で使用でき、再アーク性に優れる
  • 「再アーク性」とは棒を近づけるだけで再びアークが発生する性能のこと
  • (株)神戸製鋼所の低水素系溶接棒は乾燥が不要のアルミ包装タイプが存在する

LB-52Tはあくまで仮付け溶接用のアーク溶接棒です。

仮付け溶接をワイヤーで行うことも当然あり、そのときはフラックス入りワイヤと比較してスラグが少なく割れにくいソリッドワイヤがよく使用されます。

>>ソリッドワイヤについての解説はこちらから

溶接棒でもワイヤーでも仮付け溶接は非常に重要な工程だよ。

もし「仮付け用の溶接棒」が必要だという言われれば、今回紹介したLB-52Tを選定しておいて間違いないでしょう。

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