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ソリッドワイヤの基本を解説【YGW11 YGW12】

本記事を読んでわかること
  • ソリッドワイヤとフラックス入りワイヤの性能の違い
  • 大電流用ソリッドワイヤYGW11について
  • 低電流用ソリッドワイヤYGW12について

半自動溶接で使用される「ソリッドワイヤ」について解説していきます。

半自動溶接とはどのような溶接法なのかを、以前に少し紹介していた記事がありますのでこちらもご参照ください。

溶接棒と同じく溶接ワイヤーも種類が豊富で、メーカー各社、様々な名称で販売しています。

そのため全ての溶接ワイヤーの名称や性能を覚えるには長い時間を要します。

当社のブログでは膨大な情報の中から、知っておきたい重要な知識だけをお伝えしたいので、溶接ワイヤーのことを初めて勉強しようと思っている方には有益な内容になっております。

今回紹介するのは鉄(軟鋼)を溶接するソリッドワイヤだよ。

本記事では、現場で最も使用されているソリッドワイヤ2種類の規格を解説致します。

目次

溶接ワイヤーにはソリッドワイヤとフラックス入りワイヤがある

基本的な知識として「溶接ワイヤ」は以下の2種類に大別されます。

  • ソリッドワイヤ
  • フラックス入りワイヤ

ソリッドワイヤが断面に何もない単なる金属線構造になっているのに対し、フラックス入りワイヤはワイヤ内にフラックスと呼ばれる粉が入った構造になっています。

フラックスの役割については溶接を手助けしてくれる成分が入っているという認識でいいよ。

更にソリッドワイヤには「大電流用」と「小電流用」があり、フラックス入りワイヤには「スラグ系」と「メタル系」があります。

ソリッドワイヤの分類
  • 大電流用ソリッドワイヤ
  • 小電流用ソリッドワイヤ

フラックス入りワイヤはスラグ系とメタル系の2種類で大別されます。

フラックス入りワイヤのメタル系のみ「スラグが少ないタイプ」と「スラグが多いタイプ」で語られることが多いため、更に分類しております。

これら5タイプの溶接ワイヤの性能の違いは以下のようになります。

スクロールできます
ワイヤ種類大電流用ソリッドワイヤ小電流用ソリッドワイヤスラグ系フラックス入りワイヤメタル系フラックス入りワイヤ(スラグ少ないタイプ)メタル系フラックス入りワイヤ(スラグ多いタイプ)
溶け込み深い浅いやや浅い深いやや浅い
溶接姿勢下向き 水平すみ肉全姿勢全姿勢下向き 水平すみ肉下向き 水平すみ肉
ビード外観やや不良普通美しい普通美しい
スラグ量少ない少ない多い少ない多い
スパッタ多い少ない非常に少ない少ない非常に少ない
アークの感じバチバチ良い非常に良い良い非常に良い
ヒューム発生量普通少ない少ない少ない少ない
”神戸製鋼所 銘柄のおはなし”より ソリッドワイヤとフラックス入りワイヤの作業性比較

本記事ではこの表の中から「大電流用ソリッドワイヤ」と「小電流用ソリッドワイヤ」について基本的な事項を解説していきます。

代表的なソリッドワイヤ

ソリッドワイヤの中で特に基本となるワイヤー種類がYGW11(大電流用)、YGW12(小電流用)の2種類のワイヤになります。

YGWというのは製品名ではなくソリッドワイヤにおけるJIS規格の名称なんだ。

大電流用ソリッドワイヤ YGW11

神戸製鋼所「MG-50」、日鉄溶接工業「YM-26」などが該当する溶接ワイヤになります。

高電流域で安定した溶接が可能なワイヤーで、その特性から厚物の溶接に適しています。

シールドガスには炭酸ガスを使用し、溶接姿勢は下向きとすみ肉溶接に限ります。

主に鉄骨や建機の溶接現場で目にする機会の多いワイヤになります。

上記の高電流域の下向き・すみ肉溶接で使用され、シールドガスに炭酸ガスを使用するというのがポイントで、この条件を満たすソリッドワイヤがYGW11に該当します。

参考までに下の溶接ワイヤを見比べてください。

左図は日鉄溶接工業の「YM-26」、右図はパナソニックの「YM-50」という溶接ワイヤです。

製品名称が似ているため、同じメーカーが出している性能違いの商品のように思ってしまうのですが、両方のパッケージに「YGW11」という記載がしてあるのに注目してください。

つまり「YM-26」は日鉄溶接工業の大電流用ソリッドワイヤで、「YM-50」はパナソニックの大電流用ソリッドワイヤであることがわかります。

この2つの溶接ワイヤーは同じ用途で使用できる相当品ということになります。

ワイヤ種類YGW11のポイント
  • 高電流域で安定した溶接が可能
  • シールドガスには炭酸ガスを使用する
  • 溶接姿勢は下向き、水平すみ肉

ソリッドワイヤは製品名称で覚えるのではなく、ワイヤ種類で分けて覚えることで理解がしやすくなるよ。

さきほど紹介した溶接ワイヤのようにメーカー違いでも名前が似ているものが多いのですが、YGW11がどのような溶接ワイヤなのかを理解しておけば、ワイヤ選定時に迷うことがなくなります。

小電流用ソリッドワイヤ YGW12

神戸製鋼所「MG-50T」、日鉄溶接工業「YM-28」などが該当する溶接ワイヤになります。

低電流域で安定した溶接が可能なワイヤで、全姿勢の溶接で使用することができます。

シールドガスは主に炭酸ガスを使用しますが、スパッタ低減のために混合ガスを使用することもできます。

こちらも上記の低電流域において全姿勢溶接が可能で、シールドガスに炭酸ガスや混合ガス(アルゴン80%+炭酸20%)を使用するというのがポイントで、この条件を満たすソリッドワイヤがYGW12に該当します。

混合ガスを使用した溶接をMAG溶接(マグ溶接)と呼び、炭酸ガス溶接と比較するとスパッタが減り、美しいビード外観が得られるんだ。

YGW12の溶接ワイヤを見比べてみましょう。同社製のワイヤを用意しました。

左図は神戸製鋼所の「MG-50T」、右図は同じく神戸製鋼所の「SE-50T」という溶接ワイヤになります。

先程のYGW11同様、この2種類のワイヤは同じ用途で使用することができるのですが、同じメーカーの商品ということもあり性能には違いがあります。

MG-50Tには銅メッキがされていて、SE-50Tには銅メッキがされていないという違いがあるよ。

メッキの有無という性能の違いはあるのですが、この2種類はYGW12という同一のJIS規格を取得しているワイヤです。

つまりMG-50Tで溶接していた箇所にSE-50Tを使用しても問題はありません。

同じ箇所に使えるとはいえ完全な相当品とはいえないのも事実なので、使用者が微妙な性能の違いを求めているかどうかという話になるでしょう。

ワイヤ種類YGW12のポイント
  • 低電流域で安定した溶接が可能
  • 溶接姿勢は全姿勢
  • シールドガスには炭酸ガスか混合ガスを使用する

同じYGW12でも、お客様のニーズに合わせて様々なワイヤをメーカーは開発しているんだね。

まとめ:ソリッドワイヤの基本はYGW11とYGW12

JIS規格「YGW11」と「YGW12」がどのような性能のソリッドワイヤであるかを解説してきました。

本記事のおさらい
  • 溶接ワイヤーにはソリッドワイヤとフラックス入りワイヤがある
  • 基本的なソリッドワイヤ規格は以下の2種類
    • YGW11…高電流域で使用し、溶接姿勢は下向き・水平すみ肉、シールドガスは炭酸ガス
    • YGW12…低電流域で使用し、溶接姿勢は全姿勢、シールドガスは炭酸ガスか混合ガス

本記事で紹介した規格以外にも、混合ガスを使用するソリッドワイヤJIS規格「YGW15」や「YGW16」といったワイヤも存在します。

しかし溶接の現場において最も多く採用されているソリッドワイヤは「YGW11」か「YGW12」で間違いありません。

まずはYGW11とYGW12のソリッドワイヤを覚えることが最初に学んでおきたい知識でしょう。

もし知らないメーカーの溶接ワイヤを見かけたら箱やワイヤーに記載されている印字を調べてみよう。
ソリッドワイヤであればYGW11かYGW12と表記されているものを使っている可能性は高いよ。

スラグ系フラックス入りワイヤを紹介した記事もありますのでこちらもあわせて読んでみてください。

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