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TIG溶接に使用するタングステンの特徴と代表的な4種類を解説

本記事を読んでわかること
  • TIG溶接で使用されるタングステンとはなにか。
  • 代表的なタングステンの種類と特徴の紹介

タングステンを持ってきてって言われたんだけどタングステンってなに…?

タングステンはTIG(ティグ)溶接で使用される部品の1つだよ。

タングステンはタングステン電極とも呼ばれ、TIGトーチにセットして使用します。

タングステンにはさまざまな種類があるのですが、主に溶接時の電気の流れ(直流・交流)と溶接する母材で使用するタングステンを変える必要があります。

本記事ではTIG溶接に使用するタングステンの種類を見ていきながら、基本的な知識を解説していきます。

なにを溶接するかでタングステンを使いわけられるようになろう。

目次

TIG溶接とは:タングステンを電極とし、不活性ガスを用いた溶接法

タングステンについて理解する前にTIG(ティグ)溶接がどのような溶接法なのかを知っておきましょう。

溶接機各種を紹介した記事の中で、TIG溶接機にも触れている記事があるためこちらも参考にしてください。

>>TIG溶接機に関する記事はこちらから

TIG(Tungsten Inert Gas)溶接とはタングステンイナートガス溶接の略で、タングステンを電極とし、不活性ガスを用いた溶接法です。

ここでいっている不活性ガスとは「アルゴンガス」のことだよ。

タングステンが電極になるということで、TIG溶接はタングステンからアークが発生します。

被覆アーク溶接(溶接棒での溶接)や半自動溶接(溶接ワイヤでの溶接)の場合、溶接棒と溶接ワイヤが電極になります。

溶接棒や溶接ワイヤがアークを発生させたとき、アーク熱でいっしょに溶け落ちて溶着金属になることから、消耗電極式アーク溶接と呼ばれます。

一方でTIG溶接は、電極となるタングステンがアーク発生時にいっしょに溶けて溶接金属にならないため、非消耗電極式アーク溶接と呼ばれます。

いっしょに溶けなかったら溶接にならないんじゃ…!?

タングステンが溶けないからこそアークにTIG溶接棒をいれながら溶接するのがTIG溶接なんだね。

代表的なタングステンの種類

タングステンにはさまざまな種類がありますが、その中でも特に使用している方の多い以下の4種類のタングステンの特徴をそれぞれ紹介します。

代表的なタングステン4種
  • 純タン
  • トリタン(2%トリウム入りタングステン)
  • セリタン(2%セリウム入りタングステン)
  • ランタン(2%ランタン入りタングステン)

トリウムとかセリウムとか一体なんなの?

酸化物(トリウムとかセリウム)が添加されているタングステンはアークの起動性と安定性に優れるんだ。
それにタングステン自体の耐久性も向上させてくれるんだよ。

純タン

純タン 識別色:緑

酸化物が添加されていない純粋なタングステン(=純タン)です。

交流TIG溶接で使用され、タングステンが過熱されたときに溶融して丸くなるのが特徴です。

丸くなった状態が維持されるため、アークの安定性には優れますが、起動性には劣ります。

交流でアルミニウムやマグネシウムを溶接するために使用されるタングステンで、直流TIG溶接に使用されることはありません。

トリタン(2%トリウム入りタングステン)

2%トリウム入りタングステン 識別色:赤

2%の酸化トリウム入りタングステンで、純タンと比較して消耗しにくく、直流TIG溶接時のアーク安定性に優れています。

交流TIG溶接で使用した場合、電極先端の溶融部にコブ状の突起物が形成しやすく、アークが乱れる原因になります。

また、そのコブ状の突起物が溶接部に溶け落ちる(タングステン巻込み)と呼ばれる欠陥も発生することがあります。

直流TIG溶接で鉄やステンレスを溶接することが多いユーザー向けのタングステンになります。

トリウムは放射性物質が含まれているため、トリタンの使用率は減ってきています。

セリタン(2%セリウム入りタングステン)

2%入りランタン入りタングステン 識別色:灰

2%の酸化セリウム入りタングステンで、直流でも交流でも使用可能なタングステンです。

トリウム入りと比較した場合、アークの起動性に優れ、電極も消耗しにくいのが特徴です。

直流交流問わず使用でき、鉄・ステンレス以外にもアルミを溶接するというユーザーにはオススメできるタングステンになります。

ランタン(2%ランタン入りタングステン)

2%ランタン入りタングステン 識別色:青

2%の酸化ランタン入りタングステンで、基本的には直流TIG溶接での使用を推奨しています。

最大の特徴は直流TIG溶接時のタングステン耐久性です。

長時間使用してもタングステンの変形が少ないことから、鉄やステンレスの自動溶接に適しています。

交流TIG溶接でも使用はできますが、アークの集中性が劣ることが報告されています。

各タングステンの性能比較表

紹介してきた各タングステンの特徴や違いを表にまとめました。

スクロールできます
溶接法母材識別色
純タン交流アルミニウム マグネシウム
トリタン(2%トリウム入りタングステン)直流鉄 ステンレス
セリタン(2%セリウム入りタングステン)直流・交流鉄 ステンレス 
アルミニウム マグネシウム
ランタン(2%ランタン入りタングステン)直流鉄 ステンレス
代表的なタングステン4種の性能比較表

鉄とステンレスの溶接は直流で、アルミの溶接は交流なのか。

なにを溶接するかで直流溶接なのか交流溶接なのかがわかれば、その情報から最適なタングステンを選ぶことができるね。

鉄やステンレスの溶接以外にもアルミを溶接する仕事があるのであれば、直流・交流の溶接で使用可能なセリタンを選択するといった提案ができるようになります。

本項で紹介したタングステン以外にも、異なる酸化物を添加させているタングステンは存在しますが、まずは以上の4種を覚えておきましょう。

まとめ:タングステンはTIG溶接で使用し、何を溶接するかで使いわける

本日のおさらい
  • タングステンはTIG溶接で使用する部品
  • TIG溶接とはアルゴンガスを使用し、タングステンを電極とした溶接方法
  • 代表的なタングステンは以下の4種類
    • 純タン
    • トリタン(2%トリウム入りタングステン)
    • セリタン(2%セリウム入りタングステン)
    • ランタン(2%ランタン入りタングステン)
  • 直流TIG溶接ではトリタン・セリタン・ランタンが使われ、鉄やステンレスを溶接できる
  • 交流TIG溶接では純タン・セリタンが使われ、アルミニウムやマグネシウムを溶接できる

溶接する材料や使用者の好みによってタングステンは選定しよう。

タングステンはアークの安定性や起動性、溶融した際の丸まり方など違いは様々あります。

溶接のしやすさなどは作業者それぞれの感覚的な話にもなってきますので、我々のような販売側の人間はなにを溶接するかでタングステンを使い分けるということを第一に覚えておきましょう。

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