- 溶接機とはどのような種類があるのか。
- 各溶接機にはどのようなガスが使用されているのか。
- 各溶接機にはどのような部品が使用されているのか。
「溶接機」と呼ばれる製品には様々な種類があります。
鉄工所などで特によく見かける溶接機は以下の3種類になります。
- 交流アーク溶接機
- CO2/MAG溶接機
- TIG溶接機
上記の溶接機はそれぞれ、使用する部品も違えば、現場での呼ばれ方も異なります。
本記事でははわかっていないと混同しやすい代表的な溶接機と、それぞれに使用する溶材や部品の名称、そして現場で出てきやすい呼び方を紹介していきます。
手棒やワイヤー、TIG棒といった消耗品をそれぞれ使用する溶接機に対応させて覚えておくことで理解を深められると思います。
業界に入りたてで溶接機のことがほとんどわからない方がいましたら是非最後まで読んでみてください。
1つずつがんばって覚えていくぞ!
溶接機3種の紹介
鉄工所などでよく使用されている溶接機は以下の3種類になります。
その特徴や使用部品、現場においてどのように呼ばれていることがあるのかを知っておきましょう。
交流アーク溶接機
溶接材料として溶接棒を使用する溶接機で、溶接棒を使用する溶接法を被覆アーク溶接と呼びます。
溶接機以外に用意する道具が少ないのが特徴で、ホルダーと呼ばれる部品に溶接棒を挟んで使用します。
溶接時にガスも必要としません。
交流の他に直流アーク溶接機も存在しますが、圧倒的に交流アーク溶接機を使用しているお客様が多い印象です。
現場からは「交流機」「抵抗機」などという呼び方で呼ばれることがあります。
現場で交流アーク溶接機と呼ばれることはあまりないよ。
交流機や抵抗機と呼ばれたらこのタイプの溶接機のことを言っている可能性は高いね!
- 溶接棒を使用する。
- 溶接機以外に必要とする道具が少ない。
- ガスが不要
- 「交流機」、「抵抗機」と呼ばれることが多い。
ここで述べた溶接棒とは「ZERODE-44」などの銘柄のことになります。
交流アーク溶接機で使用する溶接棒は現場においては「手棒」「アーク棒」「電棒」などと呼ばれることもあります。
CO2/MAG溶接機
溶接材料として(溶接)ワイヤーを使用する溶接機です。
さきほどの交流アーク溶接機と比較すると必要な道具の数は多くなりますが、溶接効率が圧倒的に高いです。
そのため現在の溶接法のスタンダードはこのCO2/MAG溶接機を使った溶接でしょう。
溶接にはシールドガスが必要で、炭酸ガス(CO2)や混合ガス(アルゴン+CO2)を使用して溶接することからCO2/MAG溶接機という名称になっています。
混合ガスを使った溶接をMAG溶接といったりするよ。
現場からは「半自動の溶接機」とか「CO2の溶接機」呼ばれることも多いです。
- 溶接ワイヤーを使用する。
- 溶接機以外に、溶接トーチ・ワイヤ送給装置・CO2調整器などの他の道具が必要。
- シールドガスとして炭酸ガス(CO2)や混合ガスが必要。
- 「半自動の溶接機」、「CO2の溶接機」と呼ばれることが多い。
どうして半自動って呼ばれてるの?
溶接ワイヤーは自動で送られてくるけど、トーチ操作は手動で行うことから半分自動で半自動と呼ばれているんだ。
溶接ワイヤに関して知りたい方は以下の記事も参考になります。
TIG溶接機
溶接材料としてTIG棒(溶加棒)を使用する溶接機です。
TIGトーチの先端に取り付けたタングステンでアークを発生させ、その中にTIG棒を溶融させて溶接する方法をTIG溶接といいます。
シールドガスとしてアルゴンガスやヘリウムガスを使用するのが特徴ですが、現在ではアルゴンガスを採用している御会社様が多いでしょう。
CO2/MAG溶接に比べて溶接速度は遅いですが、スパッタがほとんど発生せずアークが安定する等の理由から高品質な溶接を行うことができます。
- TIG棒を使用する。
- タングステンを使用する。(TIG棒≠タングステン)
- シールドガスとしてアルゴンガスがよく使用される。
- 溶接スパッタがほとんどない高品質な溶接ができる。
TIG棒とタングステンは別物だから気を付けよう!
各種溶接機まとめ
紹介してきた溶接機3種の名称、使用する溶接材料やガス、部品を最後にまとめておきます。
溶接機の名称 | 交流アーク溶接機 (交流機・抵抗器) | CO2/MAG溶接機 (半自動溶接機) | TIG溶接機 |
使用する溶接材料 | 溶接棒 (手棒・アーク棒・電棒) | ワイヤー | TIG棒(溶加棒) |
使用するガス | ガス不要 | 炭酸ガス or 混合ガス | アルゴンガス |
使用する部品 | ホルダー | 送給装置 CO2/MAG調整器 (CO2)トーチ チップ (CO2)ノズル オリフィス インナーチューブ コンジットチューブ(ライナー) インシュレータ | アルゴンガス調整器 (TIG)トーチ タングステン コレット コレットボディ トーチキャップ (TIG)ノズル |
各溶接機に対応する溶接材料、ガス、主要な部品をまとめました。
CO2溶接機やTIG溶接機の部品は種類が多くて覚えるのが大変そう。
こればかりは経験を積んで覚えていくしかないね。
トーチやノズルといった部品名称はCO2/MAG溶接機にもTIG溶接機にも使いますのでお気を付けください。
溶接機の部品は数が多く、最初の内は何が何やらわからなくなると思いますが、何を覚えるにしても紐づけして学ぶことで理解しやすくなるはずです。
本記事を読んでいただき少しでも苦手意識がなくなれば幸いです。
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